白鴎-HAKUOU
疎狂にして塵俗を厭い、且く去って山河を看る 白鴎は世態を知るか、飄蕩として風波に任す
独り善がりの人間だから、俗世間を嫌い、人目を避けて山河を歩く。江差の白い鴎は、運命に逆らうことなく、すべてを風波に任せて飛びまわっているようだ。鴎島に象徴されるように、白鴎は江差の代名詞だ。詩題は『鴎問』。
朝霞-CHOUKA
朝霞の家百万、炊あいよもにび漫す 伏して思う明天子、台に登りて御歓ありしを
朝がすみに数え切れない家々が立ち並び、どこの家からも朝飯を炊く煙が四方にたなびいている。姥神神社の崖上にあった雲石楼から見る下街の早朝を詠んでいる。商家が軒を連ねた豊かで落ち着いた街並みは、現在の「いにしえ街道」朝の情景だ。詩題は『炊煙』。
韶風-SHOUFU
韶風なお料峭として、残雪は山城を擁す 今ぎょう花を売りて去る、春は満市の声に生ず
春を告げる穏やかな風が吹いてきたが、肌をさす寒さはまだ厳しい。振り向けば、残雪はまだ冬の名残。今朝、はじめて聞く花売りの声は、街中に春の到来をふりまいていった、という。北海道で一番早い江差の春は、街に聞こえて来る花売りの声に始まる。詩題は『賁花聲』。