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乱霰-LANSAN

同雲城市を掩い、竹筧凍って声なし  報ずらくは今夜の雪、乱霰簷を打って鳴る

雪雲が街空を覆い、いつもはさわやかな音の竹筧も凍りついて動かない。その音に代わって、今夜の雪の前触だろうか、乱れとぶ霰が軒を打って激しい音を立てゝいる。乱霰の音もまた、風の街江差の象徴だ。詩題は『雪意』。

鐘声-SHOUSEI

西窓に残月落ち、霜気に鐘声凍る  喚回すれば十年の夢、独り泊す姑蘇の城

何時しか、残月も西窓に消えた。時を告げる鐘の音も寒さに凍りついたように聞こえる。振り返る十年、何もせず独り姑蘇城(春秋時代に呉の国の都に建ち、戦利品の美女が群がる桃源郷のような城)でうつつを抜かしていたようなものだ。寒夜、法華寺の鐘を聞きながら自省する若い詩人の胸中を詠んだもの。詩題は『霜鐘』。